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「孤独」というツールを使いこなす8つの条件

昨年ベストセラーになった、岸見一郎さんの「嫌われる勇気」。

心理学者アルフレッド・アドラーの心理学を一般向けに書いた本で、人間が自由であるためには「嫌われる勇気」が必要だと説きます。

 

私たちは人生の多くの場面で、人に嫌われまいとし、人とつながろうとします。

それ自体は、人間として普通のことですが、それが過剰になると、人の顔色ばかりうかがって疲れてしまいます。

現代社会では、余りにも他人と繋がりやすく、疲れてしまいがち。

それゆえに現代人は孤独を必要としている、といえるのかもしれません。

 

実際、旧来の働き方を捨て、ノマッドライフという、ある種孤独な、働き方を選ぶ人も増えているみたいですね。

 

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臨床心理士の諸富祥彦さんが2001年に書いた「孤独であるためのレッスン」は、14年も前に書かれた本ながら、示唆に富んでいます。

諸富さんによると、孤独とは、ただ孤立しているだけではだめ(むしろ、孤立していては孤独にはなれない!)で、孤独が積極的な意味をもつためには8つの条件が必要だということです。

ご紹介しましょう。

 

1. 「わかり合えない人とは、わかり合えないままでいい」と認める勇気を持て。

アドラー心理学で言えば、「課題の分離」ということですね。

承認欲求を否定しましょう、ということです。

でも言うは易しで、なかなかこれができない人もいるはずですね。

承認欲求を否定できないのはなぜかというと、これは次の2以降に関係してきます。

 

2. 人間関係についての「歪んだ思い込みやこだわり」に気付け。

要するに、承認欲求を捨てられない人は、「人に認められないと何か恐ろしいことが起こる」という偏った思い込みをもっているわけです。

まずは、これが全く irrational belief = 非合理的な信念であることに気付きましょう。

嫌われる勇気が持てない人は、視野が狭くなっていることが多いです。

アドラー心理学で言えば、「より大きな共同体の声を聞け」。

自分が思い込んでいることは、実は本当に小さな共同体の中での常識でしかありません。

もっとふつうのコモンセンスを見つけましょう。

 

3. 自分の人生で「ほんとうに大切な何か」を見つけよ。

承認欲求をもっている人は、価値判断を自己本位ではなく他者本位にしていることが多いようです。

自分の中での優先順位をしっかりと持つことで、承認欲求が不要であることに気づくでしょう。

 

4. 「自分は間もなく死ぬ」という厳然たる事実を見つめよ。

優先順位をしっかり持っても、もし時間が無限にあるなら、いくらでも先延ばしにできてしまいます。

でも事実は違う。

人生は高々100年くらいなものです。

宇宙の歴史に比べれば短いものです。

ハイデガーは、この「間もなく死ぬ」という覚悟を先駆的覚悟性と呼びました。

この先駆的覚悟性をもつことで、私たちは自分の中の大事なものに気づけるのではないでしょうか。

「いま、ここ」を生きなさい、ということですね。

 

5. 「たった一つの人生という作品」をどうつくるか、絶えず構想しながら生きよ。

私たちは、世界の中心ではありませんが、人生の主役です。

常にイマジネーションとクリエイティビティをもたなければ、孤独とは付き合っていられません。

 

6. ソーシャルスキルを身につけよ。他人の話を聴き、他人を認めよ。

「孤独」と言っておきながら、結局ソーシャルスキルかと、怒り出す人もいるかもしれません。

しかし、現実社会で「孤立」しては生きていけないのは事実です。

たとえ、沢山の人の中に居ようとも、心が独立していれば、それは「孤独」なのです。

むしろ、余計な人間関係に巻き込まれないためにも、是非ともこちらから気を配っていきましょう。

 

7. 「この人だけは私を見捨てない。どこかで見守ってくれている」。そう思える人を見つけよ。

「孤独」になるのに、こんな条件は少し変わっていますが、これは6と関係している話です。

孤独になろうとするならば、孤立しないのが前提なのです。

心を開ける友達は沢山は不要です。

出会う人で会う人、全員にいい顔をする必要はありません。

しかし、一人でもそういう友達をもつことができれば、人はほんとうの「孤独」を手に入れることができるのです。

 

8. 自分だけは自分の味方であれ。「自分を見守るまなざし」を自分の中に育め。

「自分を見守るまなざし」とは、心理学用語で"Larger I"と呼ばれる存在です。

7で得た友人が、内在化したものと言えます。

 

 

 

以上、孤独のための8つの条件。

どうでしたでしょうか?

人の目を気にしがちな現代社会、たまには人との付き合いから離れて、自分のことを見つめ直してみてはどうでしょうか?

 

今回はかいつまんで紹介しましたが、元ネタの「孤独であるためのレッスン」はとってもいい本なので、是非読んでくださいね!